小売業・サービス業好き! 全員集合!107

□生くべきか、生かざるべきか?

  シェイクスピア原作の「ハムレット」の有名なセリフである「To be, or

not to be. That is the question?」は「生きるべきか、生かざるべきか、そ

れが問題だ」と和訳されています。宮崎駿監督の「君たちはどう生きる

か。」というタイトルの映画が、日本アニメ史上最大の観客動員数を記録

したことも記憶に新しいと思います。

 スーパーマーケット業界は「競合から競争」の時代に入り、淘汰される

か巨大グループの傘下に入るか、2択を迫られています。「お客様のため

に」という言葉は社訓や念仏ではなく、「存続」してこそ実践できること

ではないでしょうか。

 ではどうしたら存続し続けられるのでしょうか? 現在のような混沌とした

時代を生き抜くキーワードは「正直」ではないかと思うのです。昨今、

様々な報道で企業ぐるみの組織的隠ぺいや消費者を欺くような事件、お客

を無視した利益至上主義等など、目を覆いたくなるような事件や報道は

枚挙に暇がありません。「組織の倫理観の欠如」「消費者軽視」といった

事件がなぜ繰り返し発生するのでしょうか。

 近江商人の教えに「三方良し」の経営という言葉があります。「お客様

取引先様にとって良いか」「自社にとって良いか」「社会(世の中)にとって

良いか」、この3つの「良し」を追求することを指す言葉だと言われてい

ます。「三方良し」の経営は取りも直さず、「正直(honesty)」であること

であることではないでしょうか。隠したいような恥ずかしいことも敢えて

公表する、鮮度の低下した商品はきちんとそのことを伝えて販売する、

企業は社会の『公器』であることを正しく理解している等、「正直な経営

に徹する」ことこそが大切であり、信頼を得る近道だと思うのです。この

ことを忘れた時、いかなる大企業といえども、平家物語の一節にある

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰

の理をあらわす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。

猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」のような道を辿る

のかもしれませんね。