□商品はどこへ行った?
スーパーマーケットの棚卸は、生鮮、惣菜部門でよく使用される「最終原価
法」による棚卸と日配や食品、菓子等でよく使用される「売価還元法」に大別
されます。
「売価還元法」とは、お客様に渡る最終形態(包装、賞味・消費期限、原材料
添加物・アレルゲン表示、バーコード付)で商品が入荷する分類について、商品
部で予め原価と売価が設定されたものを棚卸する方法です。登録された売価と
入荷・販売履歴で売上げと在庫(理論在庫)を算出する方法です。
一方「最終原価法」は、原材料の形態(丸尾の魚、枝肉のお肉等)を店舗内で加
工し、パック詰め、商品ラベルを添付し、売場に品揃えする商品の棚卸方法で、
原価はわかっているが、売価は店舗で値入をして決定する商品であり、同じ原料
でも入荷日によって原価が異なるため、棚卸直前の原価でそれぞれの原料の原価
を算出することから「最終原価法」と呼ばれています。
「売価還元法」では、登録された売価と入荷・販売履歴で売上げと在庫(理論在
庫)を算出しますが、実際に棚卸で商品の数を数えた「実在庫」との差が発生しま
す。この差を「棚卸ロス」もしくは「不明ロス」と呼びます。
なぜ計算上の理論在庫と実在庫の差が生まれるのでしょうか。大きく分けると
「管理不行き届き」によるものと「万引き」によるものに分かれます。「管理不
行き届き」の例で言うと入荷時の検品漏れで実際より商品が少なかったり、ベン
ダーさんに返品するはずが、返品を忘れていたり、廃棄する商品の廃棄登録を忘
れていたり等、ヒューマンエラーによるロスを指します。「万引き」については
特に説明の必要はないと思いますが、化粧品やお酒等は毎回結構な金額になります。
本来あるはずの商品がないということは、「仕入れはしたけど、売る商品がな
い」ということですので、利益を圧迫してしまいます。優良な小売り企業ほど、
「棚卸ロス」が少ないと言われています。製造業より利益率の低い小売業では、
ロス削減は非常に重要と言えます。