□小は大に勝る?
世の中にはいろいろな業界がありますが、総じていえば力関係は、大企業>
中堅企業>小企業>零細企業という図式が成り立つのではないでしょうか。
企業の規模を覆して、中小企業が大企業を凌駕しているという話は殆ど聞いた
ことがありません。
これが小売業の世界になると少し状況が変わってきます。皆さんの周りで
大企業のショッピングセンターやショッピングモールの近くで、昔ながらの
商店街が元気に営業していたり、ローカルスーパーが根強い人気を誇っている
という状況を見たことはありませんか?
そうなんです。小売業は「規模=お客様の支持」とはならないところが面白い
ところです。なぜかというと、食料品をはじめ、生活必需品は「地域性」に左右
される部分が少なからずあるからです。(「たかが5%、されど5%」の項を参照
ください) 大企業が細かく地域の特性を理解できているかというと、そうで
ない場合が多々あります。
また、大企業の立場として一次産業の産品(農産品、水産品、畜産品等)も、
「大量生産できないものは、大企業の仕入れルートに乗りにくい」という事情が
あります。数十~数百店舗のチェーンストアの場合、全店で販売できる「量」の
確保がまず必要になります。地域で細々と生産されてきた商品を個店ごとに仕入
れることは、大変面倒で困難なことなのです。それに一次産品は工場製品と違い、「量」をかき集めようとすると、かえって割高になるのです。一方で、地場の中
小・零細企業の店舗は、店舗数も少なく、地域密着型でやってきているため、
小規模生産者からの調達はお手の物です。お客様が望む鮮度の良い地場商品を
お手頃価格で販売できる強みがあるため、大企業のショッピングセンターや
ショッピングモールの近くでも、地域の地場スーパーがお客様で賑わっている
ことが当たり前に存在しているのです。