□女性だからこそ…
今から30年前のことです。当時水産担当だった私は、業務の効率化と担当者の
マルチタスク化という課題に取り組んでいました。そこで女性のパート従業員の
方に補助的な仕事ではなく、「お刺身の商品作り」をしてもらおうと考えました。
会社としてもマニュアルも十分整備できていない頃でしたが、丁寧に教えればで
きると思っていました。
それはスーパーマーケットでの刺身作業は、ある程度決まったネタを決まった
切り方で、決まった切れ数を切り、決まったトレーを使い、決まった盛り方をする
ため、切り方や盛り付けのパターンを理解してもらえれば、パート従業員の方でも
できるはずと考えていました。
実際やってみると、パート従業員の方の「難しそう」という先入観が消えるの
に1週間もかかりませんでした。「難しそう」から「できそう」になっていくと、
あとはとんとん拍子に行きました。今は殆どの企業で作業マニュアルがあると思
いますが、「定形」「定量」な作業は標準化しやすいものです。
お刺身作業をパート従業員にお願いしてわかったことがあります。「定形」
「定量」な作業は女性の方が向いているということを。それはなぜかというと、
男性は気分の変化によりスピードや出来栄えにムラが出やすいのですが、女性は
正確に教えられた手順で同じリズムで作業を続けることができるからです。その
ため、出来栄えに差がでにくく、安定した商品作りが期待できます。同じ作業を
繰り返し行う場合、出来栄えとスビートの軍配は女性に上がると今でもそう思っ
ています。女性の力が発揮できる場所はこんなところにもあると思います。