□スーパーウーマン?
私が携わった仕事の中でスーパーマーケットの各部門の「技術認定試験」
というのがあります。各部門の社員やパートさんの技術習得をすすめ、到
達レベルに応じて「初級・中級・上級」レベルの試験を実施し、合格する
と認定証を発行し、評価するというものです。農産、水産、畜産部門では、
商品の加工や商品作り(刺身や薄切り肉等)、デイリー、グロッサリー部門
では、各種データの登録や削除、棚替えや発注、データ分析等、レジ部門
ではレジ操作やサービスカウンター業務、クレーム対応等の実技と筆記試
験の合計点で評価を行います。
それぞれの部門の何でも、水産と畜産部門の実技試験は難度が高く、上
級については1度で合格する人は殆どいないくらいの難関でした。そうい
うのも魚の肉の基本から応用まですべて理解し、必要なスキルと力量を身
に着けることで、売場品質のレベルを上げ、お客様にご満足いただきたい
からです。
ある店舗のパートであるYさんは、最初は水産部門に配属になりました。
持ち前の器さと向上心でメキメキ頭角を現し、高難度な刺身盛合せや姿造
り、鱧の骨切りに至るまでマスターされました。ところがその店舗の水産
部門をテナントにアウトソースすることになり、Yさんは泣く泣く畜産部門
に移りました。Yさんは畜産部門でもスキルを磨き、牛、豚の整形や部位割
り、手切り、スライスに至るまで、超スピードでマスターされました。社
員よりも早く、丁寧な作業でついには水産・畜産の上級試験ダブル合格す
ることができました。正社員でも上級試験ダブル合格した人はいないので、
彼女の偉業がどれほど凄いかがわかります。「お客様に喜んでいただれる
商品を作りたい」との彼女の思いが形になった瞬間です。Yさんの嬉し涙
は今でも忘れることができない思い出です。