□当世鍋事情?
寒い時期には、鍋物で暖まりたいですよね。比較的手軽でおいしく食べられ
る鍋物は、冬場の食卓を彩ります。現在では当たり前になった「鍋つゆ」ですが、
ほんの20年前までは殆ど品揃えがありませんでした。それまでは、すき焼きのタ
レやしゃぶしゃぶのタレ等のタレはありましたが、鍋物の味付けは、各家庭で料
理に応じて行うことが主流でした。また、「鍋物=家族団らん」というイメージ
がありましたので、鍋物は家族揃って食べることを前提にしてきましたが、昨今
は「一人鍋」や「温めなおしてもおいしい鍋」という切り口も増えており、食シ
ーンの変化を感じます。
鍋つゆといえば定番の「寄せ鍋」「キムチ鍋」「水炊き」等に加えてあご(飛魚)
や昆布出汁等、出汁にこだわったものやラーメン屋さんのスープで作った鍋、有
名料亭やレストランの鍋など、百花繚乱の様相を呈しています。これに地域の名
物鍋(大分のごまだし等)なども加わり、よりバラエティー豊かになっており、どの
鍋にするか迷ってしまうほどです。
また、残った具材で楽しめるのも鍋物の良いところですよね。残ったスープを
使った雑炊やリゾット、〆のラーメン等はもとより、翌日に「味変」して、違う
趣で食べというのも楽しいものです。グリコではありませんが、「1回で3度楽し
い」味が楽しめるというものです。
その鍋物料理は、野菜の価格に敏感に反応する料理でもあります。冬場野菜が
高騰している時は鍋物需要が低迷するため、食品スーパー担当者は「青ざめて」
しまいます。なぜなら、鍋物をする際は、野菜やお肉(お魚)、豆腐、こんにゃく
・シラタキ類等、関連する具材も併せて利用していただけるので、冬場に鍋物需
要が低迷すると買い上げ点数がガクッと下がり、売り上げが厳しくなるからです。
「冬は寒く、野菜はくすくすと」が食品スーパー担当者の願いでもあります。