□物流と商流?
あるスーパーマーケットでお気に入りの商品があるが少し遠いので、自宅
から近いスーパーにも置いてほしい思い、お客様のご意見箱に書いて入れて
もなかなか品揃えしてもらえないという思いをした方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。
バイヤーの重要な業務のひとつに、担当する部門の品揃えを決め、商品が
滞りなく納品できるようにメーカーやベンダーと調整するというものがあり
ます。品揃えを決めると販売管理用のデータサーバーに商品名や規格、売価、
発注単位やリードタイム(発注してから納品されるまでの期間)等を登録します。
そしてメーカーやベンダーに対して登録した内容を伝え、いつから発注できる
かを調整し、各店舗に通知します。一般的にベンダー(卸問屋)が商品を入荷さ
せてからでないと店舗は発注できないのです。
大手メーカーの商品なら大体この流れで商品を品揃えすることができます
が、規模の小さい企業や遠方にあるメーカーや産地の商品を調達する場合は、
少し大変になります。一つ目は「物流」の確保です。いくら気に入った商品
があってもそのメーカーから自社の店舗まで、商品を配送するトラック便が
繋がらないといけません。取扱量が少量であれば、当然運賃も高くなり、
思ったような価格で販売することができなくなるのが難しいところです。
二つ目は「商流」の確保です。物流ルートが繋りそうでも、商品取引という
お金の流れ=商流が繋がらないと品揃えは実現しません。大手メーカーなら
問題はありませんが、規模の小さい企業によると支払い能力(与信)が担保さ
れないと商流が繋がらない場合があるのです。わかりやすく言えば、万一倒
産し代金回収ができなくならないように、先方の財務状況を確認してから取
引が始まる場合が殆どです。
小売店では商品の品揃えを決める前にいくつかのハードルがあるのです。
お客様のご要望は極力叶えたいと思っていても、ハードルの前で断念せざるを
えない商品もあります。私たちはお客様のご要望に対して、真摯に向き合い、
結果的に品揃えできないことになったとしても、その理由をきちんとお伝えて
きることが大切だと思います。